食・グルメ スポット 池袋
昭和39年から続く池袋の知る人ぞ知る名店

池袋の真ん中 で、ふるさとを感じよう。わっぱ飯発祥の店『にいがた田舎家』

時間の流れの速い都会での生活に疲れたら・・・。ふと足を止めてほっとする「おふくろの味」に会いに行こう。

なかのひと

当社の拠点から半径300mというせま~い範囲の中で1店だけ、イチオシのお店を紹介する企画「半径300mグルメマップ」。今回紹介するのは、東京都豊島区南池袋にある「にいがた田舎家」。

池袋と聞いて何を思い浮かべるだろうか?サンシャイン60?某ドラマで流行ったカラーギャングの街?乙女ロードを代表する腐女子の聖地?いずれにせよ、イベントで訪れる場所で、人が住んでいる街というイメージが少ないかも知れない。でも筆者にとっての池袋は、上京して初めての一人暮らし、初めてのバイト、就職・・・。いくつかの「はじめて」を経験し、人生の転機を過ごした懐かしい街である。同じように人生の転機を池袋で過ごした人はきっと多いと思う。

そんな池袋で昭和39年から約50年、ずっとこの街を行き交う人を見続け、「おふくろの味」を提供してきたホットステーションが「にいがた田舎家」だ。味はもちろんお墨付きだが、まるで家に帰ってきたような温かさに、張り詰めていた心がふっと緩んでしまう、そんな場所なのだ。

池袋で50年、名物はオリジナル料理 わっぱ飯

蒸された器から立つ湯気の中に郷愁を覚える、「わっぱ飯」

「わっぱ」とは、杉の板を曲げて作った容器のこと。「わっぱ飯」を何となく知っているという人は多いが、実は新潟の田舎家本店が始めたオリジナルメニューだということは、ほとんど知られていない。郷土料理のように思われているが、田舎家の初代主人が北大路魯山人のアドバイスも受けて考案した、商標登録済みのれっきとしたオリジナル料理だ。注文を受けてから蒸し上げるわっぱ飯は、素材の良さを感じられる具材の美味しさに加え、杉の香りが鼻をくすぐり、心の中へも染み込むよう。

夜の単品より安く、手軽に食べられるランチも人気だ。炊き上がるまでに時間がかかるため、ランチメニューにわっぱ飯は書いていないが、電話で事前に予約すれば休憩時間内に食べられる。予約しなくても頼めば作ってくれるので時間に余裕のあるときはぜひ注文してみてほしい。

冷たい「のっ平」。知らずに口にすると、びっくりする

ぜひ、わっぱ飯とセットで食べてほしいのは、のっ平(のっぺ)汁。新潟の郷土料理として有名で、具材の多さから煮物の類に入る。各家庭で食べ方も具材も違うのだそう。田舎家ののっ平汁は温かそうに見えて、なんと冷たい。味は薄口ながら野菜と貝柱、しいたけなどの出汁がコクのある味わいを醸し出していて、冷たいのに何故かしんみりと心を温めてくれる。汁物を食べてほっとするのは、温かいからではないのだと知った一品。東京ではなかなか味わえない。

「バイ貝の酒煮」もこの店の名物料理。都心ではなかなか食べられない

呑兵衛垂涎のメニューは、バイ貝の酒煮。これだけを目当てに来るお客さんもいるそうだ。「福が倍になる」として縁起が良いと言われるバイ貝。つるんとした口あたり、身は甘みがありクセがなく、ワタも苦みが少ない。旨味が凝縮した煮汁をつい飲み干してしまう。貝好きにはたまらない。

人気の新メニュー。「豚バラカリカリ揚げ」は、ずっとかみ続けたいうまさ

新メニュー「豚バラのカリカリ揚げ」。新潟のブランド豚、越後もち豚の名前通りのモチモチ感と、揚げたてのカリカリ感が楽しい食感を演出。噛めば噛むほど味が出るジャーキーのようでエンドレスに酒が進む、進む・・・。

「柳ガレイ一夜干し」。旨味がしっかりと感じられるのは鮮度が高い証拠

柳カレイ一夜干しも新潟ではよく食べられる郷土料理。「カレイの女王」と言われる柳カレイ。淡泊ながら上品な旨味があり、ああ、酒が進む、進む、進む・・・。

常連さんオススメの「鮪アボカドユッケ」

しっとりとカレイを味わっていると、隣のお客さんが「僕のオススメ、一口どうぞ」と『鮪アボカドユッケ』をおすそ分けしてくれた。普段は寡黙な板前、通称「親方」もその様子に笑顔を見せる。「鮪アボガドユッケ」は新鮮な鮪に濃厚な味付け。そして、この親しみやすい空気にさらっと触れられることもこの店の良さ。・・・酒が進む。

わっぱ飯はさけやとり、かにも。旬の素材を使った料理を用意している

「ただいま」を言いたくなる店で、ふるさとを感じよう

田舎家は明治通りから入ったマンションの1階、池袋駅から鬼子母神方面に下る、メイン繁華街とは離れた場所にある。本店は新潟の名店。本店の意思を継いで新鮮な魚介類や野菜を各市場から仕入れ、旬の味を楽しめる。入り口には威厳のある手掘りの木製看板。中の様子が分からないので、一見敷居が高そうにも見えるが、古民家のような店内に入るとなぜか実家に帰ってきたような懐かしい感じがするから不思議だ。

店との付き合いは13年。初入店の際は緊張したが、カウンター席について、ものの5分ですっかりくつろいでしまった。その1番の理由は、女将さんの笑顔。初めて店にきたときから変わらぬ愛くるしい笑顔で迎えてくれる。今は池袋から離れているが、1時間かけて女将さんに会いに行く。残念ながら今回は、出演NGで写真は出せないので店に足を運んだ人だけの特典だ。

店内は意外と広く、カウンターの他、テーブル席と座敷がある。長年この街で営業していると芸能関係の常連さんも多いのだそうで、座敷ではクラシックのコンサートや寄席なども開催している。

明治通りの歩道看板を目印に、路地裏に進む
重厚な木製の看板が年季を感じさせる。中の様子は分からないが、温かい笑顔が待っている
カウンター着席後5分で実家気分。女将に「ただいま」と言いたくなる
宴会もできる大きな座敷では、リサイタルや寄席などのイベントも

昭和39年に池袋に店を構えてから実に約50年間。初めての人でも、まるで家族のように接してくれる。

「池袋の“ほっとステーション”と言うか、温かい雰囲気を大事に、旬の味を楽しんでもらえたら」と明るい笑顔で女将さんが話してくれた。

ふるさとがあってもなくても、なぜか郷愁を感じられる田舎家。時間の流れの速い都会での生活。ふと立ち止まって、ほっとできる場所を探しているなら、ぜひ行ってみてほしい。一人でも、仲間とでも、この店はいつも温かく迎えてくれる。その温かさでなぜか涙が出そうになるのは、きっと筆者だけではないはずだ。

にいがた田舎家
〒171-0022 東京都豊島区南池袋1-9-21 J.K.7ビル1F
TEL:03-3984-6437
営業時間:11:30~13:30 16:30~23:00
ランチ営業、夜10時以降入店可
定休日:日曜日

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