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神戸特派員第2号 健茶よりご挨拶

全国で2番目の規模。多様性の祭典、関西「レインボーフェスタ!2018」にボランティア参加してきた話

「PRIDE指標2018」ブロンズ認定されたベルシステム24社員が有志でボランティア決行。

健茶(けん・ちゃ-)

ジモタツ神戸支局特派員第2号、健茶(けん・ちゃ-)と申します。ベルシステム24で1○年。末っ子気質。そしてLGBTのG。会社でもオープンにしています。

突然ですが、2018年10月17日、ベルシステム24公式HP他、一部ネットニュースなどにも掲載されたこちらの記事、皆さんご覧になりましたか?

この「PRIDE指標2018」、知らない方も多いかも知れませんが、任意団体work with Prideが2016年に策定した、企業・団体等におけるLGBT等性的マイノリティ(以下、LGBT)に関する取り組みの評価指標です。評価項目を満たす企業に対して、ブロンズ、シルバー、ゴールドの3つのランクで認定をしています。

全国に約3万人の社員が働いているベルシステム24は、すべての方が安心して働ける環境を提供するため、さまざまな取り組みをしてきました。女性活躍推進や障がい者雇用についても力を入れているなかで、このたび「PRIDE指標2018」のブロンズ認定を受けたということで、当社が、LGBTなどセクシュアル・マイノリティに対する取り組みについても、一定の評価を得たという証です。当事者として、とても嬉しく思っています。

■ PRIDE指標の評価項目とは(抜粋)

1.Policy: 行動宣言
会社としてLGBT等の性的マイノリティに関する方針を明文化し、インターネット等で社内・社外に広く公開しているか
2.Representation:当事者コミュニティ
LGBT当事者・アライ(Ally、支援者)に限らず、従業員が性的マイノリティに関する意見を言える機会を提供しているか。アライを増やす、顕在化するための取り組みがあるか
3.Inspiration:啓発活動
過去2年以内に、従業員に対して、性的マイノリティへの理解を促進するための取り組みを行っているか
4.Development:人事制度
休暇・休職や支給金(慶弔祝い金等)などの人事制度・プログラムがある場合、婚姻関係の同性パートナーがいることを会社に申請した従業員およびその家族にも適用しているか。また、トランスジェンダーの従業員向けに適した施策を行っているか
5.Engagement/Empowerment: 社会貢献・渉外活動
LGBTへの社会の理解を促進するための社会貢献活動や渉外活動を行ったか。
参照:http://workwithpride.jp/pride-i/

2018年度は、「2.当事者コミュニティ」「3.啓発活動」「4.人事制度」の3項目において評価され、ブロンズの受賞となりました。しかし、これは3段階評価の入り口、第一歩に過ぎません。

次は「PRIDE指標のシルバー、ゴールド受賞」をとれるような、真のLGBTフレンドリーな会社作りのため、当事者として僕も何かできるのではないか?

ということで今回、LGBTのイベントに会社の同僚も誘ってボランティアにチャレンジしてみました。

自分がGであることは同僚みんなが知ってくれており、声をかけたところ、なんと18名の社員が集まってくれました!今回ボランティア参加をしたのは、「レインボーフェスタ!2018」。2018年10月6日、7日の2日間、大阪市内の扇町公園で開催されました。

関西の老舗イベント。レインボーフェスタ!とは?

今回ボランティア参加した、「レインボーフェスタ!2018」は「ステージ」「パレード」「展示ブース」の3つから構成されており、パレード単体では2006年から13年間、毎年開催されている老舗イベントです。

全国主要都市で類似のレインボーイベントが開催されていますが、今年の「レインボーフェスタ2018」は初の2Days開催、来場者は過去最高の10,000人を突破し、国内では「東京レインボープライド」に次ぐ2番目の規模になりました。

「レインボーフェスタ!2018」はLGBTに関わらず、私たち一人ひとりが持つ「性の多様性」を祝福し、分かち合う場をつくるイベントです。さまざまな個性が集い、互いに尊重し合うきっかけになることを目的としています。

そんな多様性の祭典へ、ベルシステム24関西エリアの同僚がボランティアスタッフとして参加してくれました。

神戸/大阪拠点の仲間達、お子さんも連れてボランティア協力してくれました。

集え!『お助け戦隊 虹レンジャー』

受付を担当したレッド隊

ボランティアスタッフはセクシャル・マイノリティの象徴である「レインボーフラッグ」の色になぞらえて、『お助け戦隊 虹レンジャー」と呼ばれ、各カラー隊ごとに役割分担をしました。

『ベル虹レンジャー隊員』は、レッド、オレンジ、イエロー、グリーンの4部隊にそれぞれ配属されました。

【レッド隊】本部受付で総合案内、パンフレット配布、アルコール販売の年齢確認、来場者カウント担当
【オレンジ隊】風船の作成と配布、パレードでの隊列整理担当
【イエロー隊】イベント運営資金の寄付金集め部隊
【グリーン隊】清掃、ゴミの分別と交流企画のフォロー担当

『お助け戦隊虹レンジャー』は朝8時集合!特に神戸ソリューションセンター(以下、神戸SC)勤務メンバーは片道1時間の距離・・・。通常の出勤時間より早い。早起きして来てくれました。

当日は台風25号の接近で開催が危ぶまれる状態でしたが、なんとか無事開催できました。一時間ほどで止みましたが、初日の早朝に大雨が降り、会場のグラウンドは水たまりだらけ。

運動部の方には昔懐かしいグランウンド整備から作業は始まりました。

雨でぬかるんだグラウンドを整備すべく、なんと雑巾で水気を吸い取る作戦。地味に削られる体力

そんなイベント開始となりましたが、11時ごろには雨雲もどこかへ去り、青空が広がりました。

募金部隊のイエロー隊は炎天下で来場者に笑顔で声をかけ、歩き回りました。

体力とコミュニケーション力が勝負。

仕事で磨かれたコミュニケーションスキルはあるけど、体力がもぉ・・・

これだけ大規模なイベントとなると、出演者や関係者の人件費や機材 / 車両レンタルなど必要経費も多く、来年度の開催につなげるために寄付を募り、2日間で総額45万円以上を集めることができました。

※ イベントの収支結果詳細はイベント公式HPにて公開されます。

イベントを終えて、ボランティア参加の感想は?

ボランティアを終えて、参加いただいた皆さんに参加した理由や変化について聞いてみました。

Q:今回皆さんが「参加しよう」と思った理由、きっかけは何でしょうか?

誰も集まらんやったら「健茶」が可哀そうやったから、しゃーなしで(笑)
社内のネットワーク活動で「健茶」がプレゼンした「虹色ダイバーシティ」を見て、おもしろそうかなと思って参加しました。
「一緒に行こう!」って先輩に誘われて、このメンバーならおもしろいかな~って思って。

Q:参加する前と後で、何か変化はありましたか?

LGBT関連のニュースを興味を持って見るようになった。イベントに参加して、LGBT当事者って思っていたより多かったことがわかったし、身近に感じられるようになった気がする。
最初は「特別な人だけが参加するイベント」っていう印象を持っていたけど、子連れの家族とか、単純にイベントとして遊びに来ている人も多くて、印象が変わった。
最近までLGBTって言葉も知らなかったけど、LGBTだけでは収まりきれないマイノリティの中に、更にマイノリティがいることを、会場に居たおじさんに力説されて、理解が深まった。

Q:次回も参加したいですか?

体力と相談・・・かな?(アラフィフ↑)。でも私世代こそ、もっと関わっていくべきだと思うから、一緒に参加してもらいたいです。
会社のみんなで、大勢で参加できたらぜひやりたい!

Q:本人を前にしてアレなんですけど、社内でLGBT当事者と公言している社員と接する上で、何か戸惑うこととかありましたか?

気にしたことないなあ
転勤してきたときに「ゲイ」ということは聞いてたけど、仕事の話をする上で特に戸惑うことはなかったです。
ない。社外でもゲイの友達いたし。

Q:今後、LGBTの社員が増えたとき、対応に困りそうなことってありますかね?

一緒に勤務している全員が、一切偏見なしとは言い切れないかな。
トイレとか仮眠室とか、設備の話になると、私たちだけで対応しきれないですよね。
異性の服装で勤務して良いか、希望する名前で勤務して良いか、取引先に許可を得る必要があるか、など会社制度にも関わることになると、どう対応していいか悩みそうですね。
「気持ちは女性です」って言われても、「女装の男性」とわかる人が、社内で女子トイレを使うことを考えると抵抗がある。

Q:イベントに参加した感想を聞かせてください

今回は社内でも一部の人だけで参加したけど、もっと幅広い層に、世代も立場も問わず参加してもらえればいいと思う。おもしろかったし!
たくさんの企業がLGBT活動に参画していることを初めて知った。ベルシステム24もそんなふうになれるといいですね。
来場者はみな楽しそうにしていて、人との違いなんて実は些細なことだと思った。
当事者に接したこともないまま、先入観を持っている人も多いと思う。逆に当事者側も「こういう目で見られる」っていう偏見や先入観もあるんじゃないかな?
LGBTに対して違和感を持つ人はいるだろうけど、その違和感を「間違っている」と批判することはできないと感じた。

皆さん、感想ありがとうございました。今回、筆者である健茶からの声かけで参加いただいた皆さんは、元々、こういった活動に興味を持っていたワケではないけれど、普段から同僚として「健茶の想いをなんとかしてやろう」という皆さんの雰囲気を、ずっと感じていました。今まで一緒に仕事をしてきたからこその結束も感じられて、本当にありがたかったです。

また、感想でもありましたが、トイレなどの設備に関しては確かに、ハードルは高いですね。幅広い世代の人に理解の浸透を図るのも、時間がかかることだと思います。でも今回の活動に参加した皆さんの言葉も、今後社内でLGBTへの理解を広めるきっかけの一つになるかもしれません。

改めて皆さん、貴重な休日の一日、早朝から過酷な作業にご協力いただき、ありがとうございました!

ボランティア参加だけじゃない!イベントもしっかり堪能

エア-あややライブ!素人にはない美しさと愛らしさでした

さて、『虹レンジャー』の活動は1-2時間交代で合間に休憩が取れたため、一般来場者と同じくステージイベントや展示ブースも楽しむことができました。

ステージではTVでお馴染みの「エアーあやや」や、ゲイメンバーで構成されたバンドの演奏や、LGBTカップルの神前式も行われました! セクシャル・マイノリティだけではなく、大阪のおばちゃん達で結成されたアイドルグループなども出演。ステージ終了時にはあめちゃんを配って退場し、会場の笑いを誘っていました。

LGBTカップルの神前式も行われました
「大阪のおばちゃん」アイドル。膝を故障したメンバーが欠場、いつもの半分の仕上がりらしい(笑)

レインボーフェスタならではの多彩な出店ブースも

ナチュラルな美肌メイクをオーダー。キレイになった??

この日は飲食店のほかに、ブース出展としてフォトグラフ展示、ゲイの法律事務所、LGBT向けの結婚式場案内など他のフェスティバルではなかなか見かけないものも多数ありました。

LGBTフレンドリーなコスメブランドでは、プロの方が無料で好みのメイクをしてくれるブースを設置。通常、男性がメイクされる姿を見かける機会はあまりありませんが、本イベントでは半数以上が男性だった印象。その他、設置された親子休憩所には、いろいろな家族の形をわかりやすく紹介していたり、性の多様性を紹介する大学の出展ブースもありました。

場内に設置された「おやこ休憩所」では、いろいろな家族のカタチをちびっこにも分かりやすく紹介

GoogleMAPがレインボー色に。笑顔いっぱいのパレード

パレード当日のGoogleMAPはパレードルートがレインボーカラーで表示

イベント2日目、13時からパレードを実施。オープンカーを先頭に扇町公園を出て、約850名が公道を歩きました。

日本一長い天神橋筋商店街の北端、天六からレトロタウン中崎町を経由して、堂山町をくるっと回って公園に戻る約3Kmの道のりです。当日のGoogle MAPにはパレードルートがレインボーカラーで表示されていました!

パレード参加者は総勢850人、公園内で整列して公道へ

パレードには派手な衣装+メイクの人もいれば、赤ちゃんを抱いた家族連れ、小学生の子どもたち、お爺ちゃんやお婆ちゃん、外国の方も多くいて、歩道から手を振っているとみんな笑顔で応えてくれたり、Hugで応えてくれる方もいました。

ベル虹レンジャー、オレンジ部隊も隊列整理しつつ、笑顔で手を振ります

イベントのフィナーレは「バルーンリリース」

会場にいた参加者に配られた風船が、司会者の相図で一斉に大阪の空に放つ

イベントの締めくくりはバルーンリリースでした。

レインボーフェスタにはたくさんの参加者がそれぞれに違った想いを持って集まります。シンプルに食べて飲んで楽しむ人、自分の主張を伝えたい人、自分の居場所を探しにくる人、いろんな人がいます。

そんなさまざまな人がさまざまな色の風船を手にして、掛け声とともに一斉に空に放ちます。

それぞれの想いを載せた風船が舞い上がる。

どこまでも高く上がっていく風船、みんなで同じ空を見上げていると涙が出ました。

ボランティア参加をした2日間のはじめてのフェスタも終わり、放たれた風船のように、明日からはそれぞれの日常が始まります。

私たちはそれぞれ、生き方も境遇も異なりますが、今、私たちは同じ場所で同じ色の空を見上げています。

「それぞれの違いを受け入れ合いながら、同じ社会を生きていく」

バルーンリリースではそんな本当は当たり前のことを実感することができました。


最後までご覧いただきありがとうございます。

イベント開催までの準備は体育祭 / 学祭を思い出させてくれる懐かしさで、イベントを開催している実行委員の方々と知り合えたことも、貴重な出会いだったと感じています。

これからも社内外のたくさんの人と、この楽しさを分かち合い、結果的として、誰かにとって少しでも居心地の良い会社 / 社会に近づければいいな、と感じています。

少しでも興味を持っていただいた方、次は一緒に笑顔でパレードを歩きましょう。

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