カワイイ猫達に癒されに行こう。猫達の“仮の住まい” 品川区荏原 『里親カフェ』
今回は特別版!「カフェ」と言いながらカフェじゃない。猫達の新しい家族を探すための施設に行ってきました。
こんにちは。ナツママです。今回は半径300mグルメマップ"特別版"として、品川区荏原にある、『里親カフェ』をご紹介します。なぜ"特別版"かと言うと、『カフェ』という名前ですが、飲み物やスイーツを味わえるわけではなく、タイトルが「グルメマップ」なのにグルメじゃないんです。でも、「半径300mでオススメといったら、ここなのよ!」という紹介者の強い推しで、今回は"特別版"として取材してきました。
こちらはお店ではなく、『里親』というネーミングからも分かるように、さまざまな事情で引き取られてきた猫達の次の家族を探すための施設なのです。
利用者や有志の寄付に支えられた、猫達の”仮の住まい”
東急電鉄目黒線 武蔵小山駅から徒歩10分。知らないと見過ごしそうな佇まいなのですが、建物の窓からは既に中でくつろぐ猫ちゃんを発見。
ここ『里親カフェ』は、寄付として自分で設定した入場料を支払い、猫達と戯れて元気を貰える施設です。施設の運営費、猫達のご飯や猫砂、キャットタワーに至るまで、寄付と補助金で成り立っています。
取材前日も、公式HPの情報を見た全国各地の有志から猫砂と餌が大量に届いたのだそうで、運営者の矢口さんは夜通し整理を行ったために、寝不足になるほどだったとか。「嬉しい悲鳴です」と笑って話してくれました。
入ってまず驚くのは、猫ちゃん達が完全に〝くつろいで″いること。取材は昼間だったので、寝ている子も多かったのですが、すぐに足元に絡みついてくる人なつっこい子も。猫達は施設内で基本自由に過ごしています。
利用者は、おもちゃを使って猫と遊んだり、抱っこしたり、猫との時間を好きなように過ごすことができます。
それぞれの事情に合わせて、探していく新たな家族。運命の出会いに立ち会うことも
この施設を一人で運営する、矢口さんにお話しを聞きました。
ナ:矢口さん、この子、カワイイ寝方してますね~♪
矢口:この子は、てんかんの症状があるんです。なので、こうなっちゃうんですよね。一日2回、必ず薬を飲ませないといけないので、病気を含めて面倒を見てくれる里親さんを探してます。
ナ:そうなんですか。ほかの子たちもいろいろな事情があってここに来てるんですよね?
矢口:そうですね。いろいろありますけど、最近は高齢者の方が、事情があって飼えなくなるケースが多いですね。都営住宅の居住者が入院されて、その方の猫が区役所経由で来たり、高齢者が飼っていた猫を引き取ったり・・・。あとは、野良猫を保護することもありますし、震災で保護された猫もいます。
ナ:引き取り手はすぐ見つかるものですか?
矢口:いろいろですね。タイミングです。引き取りの条件とか、その猫の性格にもよりますね。クリスマスの日の夕方に施設に来て、その日に里親が決まった子もいれば、ここを始めてからずっといる子もいますしね。この2匹はすごく人なつっこいし、他の猫への面倒見もいいんですけど、施設を始めて4年間ずっといます。引き取り条件として2匹一緒でお願いしているんです。一緒じゃないとダメなんですよ。
ナ:引き取り条件ってどうやって決めるんですか?
矢口:施設に引き取られて来た時の状況や、猫の性格など様々なことを考慮して決めます。たとえばさっきナツママさんとおもちゃで遊んでいた猫は、三軒茶屋で保護されたんですけど、実は奇形で足の指が3本しかないんですよね。運動能力に支障があるので、完全室内飼いで、日中誰かが家にいる環境でないと難しい。ほかにも、賃貸住宅ではなく、持ち家であることが条件になる場合もありますし、いろいろです。
ナ:里親になりたい人の審査ってあるんですか?
矢口:猫によって条件が違うので審査内容は統一していないですが、あります。条件をクリアしているのか、単に勢いではないかなど。何度も施設に来て、帰宅してもどうしてもその猫のことが頭から離れない、という方にお譲りするときが多いですね。条件的に不安があっても、ご本人が強く希望されていた場合は、お試しで生活してもらうこともあります。
以前、片足ながら、体が大きくて体力もずば抜けた猫がいたんです。他の猫とケンカして怪我をさせるので、やむを得ずケージに入れていて、人間にもあまりなつかず、ヘタに手を出すと噛みつかれるので利用者にも注意していた。2年ほどしたある日、猫を飼ったことがないという下肢障がいのある方が来たんです。何度か来て、同じ障がいを持つということもあってかどうしても気になる、というので、「たぶん無理だと思うけど1週間暮らしてみますか?」と言ってお試しで預けたんです。そしたら、何日か後には「もう一緒に寝てます」というんですよね。結局、その方に引き取ってもらいました。その方のブログでも、元気な姿を見ることが出来て、幸せに暮らしているのも分かったので、嬉しかったですね。その方との巡り合わせは必然だったのかな、と感じましたね。
ナ:里親さんに渡した後の定期報告や審査はないんですか?
矢口:そこはあえて設けていません。義務化することでハードルが上がって引き取り手が減っても悲しいですし、一時的に預けているのではなくて、家族としてお渡ししていますから。でも何も義務付けなくても、里親さんからはメールや年賀状が毎年来たり、季節ごとに写真を送ってくれたり、やってくれる方が多いですよ。
ナ:なぜこの場所で始めたのですか?
矢口:もともとこの場所は、区画整理でそのうちなくなる場所なんですよね。施設をやろうと思って都内のかなり広い地域で物件を探したものの、やっぱり貸してくれるところもなくて・・・。でもここはそういった事情もあって、内装も自由に改造できたりと助かっています。今は近隣の方とのコミュニティーを築きながら、引っ越し資金を貯めています。この近くでできればいいな、と思ってます。
きっかけは何でもOK。まずは気軽に遊びに行ってみよう。
『里親カフェ』に来る方のきっかけは、近所にお住まいの方で、「猫カフェ」と検索してヒットしたから、という方が多いそう。施設のすぐ近くある小学校の生徒が学校帰りに寄ることもあるそうで、猫に慣れていない子ども達には、遊び方や接し方を教えてあげるんだとか。
子ども達にしてみたら、下校途中の家の窓からカワイイ猫ちゃん達が見えたから、「カワイイ~♪猫達と遊びたい~」という流れで遊びに来たのかもしれませんが、いつか動物を飼うときに、里親カフェでの体験を思い出して、責任のある飼い方について考えてくれたらいいな、と子どもたちが書いたカードを眺めながら想ったり。
公式HPでは物資等も募集したり、里親募集中の猫ちゃんも掲載していますが、リアルタイムで更新されていないこともあるそうなので、寄付をしたい方、物資を送りたい方、里親になりたい方はまず一度、お電話かメールで相談してみてください。
きっかけは何であれ、関わって応援し続けていくことが大事なんだろうな、と取材を通して感じたナツママでした。
- 里親カフェ
- 〒142-0063 東京都品川区荏原1丁目24−1
- メール: satooyacafe@gmail.com
- 電話 :03-6421-6023
※ 寄付のご相談や最新状況については、電話かメールでお問い合わせください。 - 営業時間: 11:00~18:00 (最大20:00まで)
- 公式サイト:http://www.satooya-cafe.org/