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アンテナショップ探検隊・2 福岡編

時間を忘れるユニークな品ぞろえは一見の価値あり! 定番グルメだけでなく、店員さんと会話を楽しもう!

今回ご紹介する「ザ・博多」は公式のアンテナショップではなく民間企業が運営し、取扱商品も自社判断で仕入れています。それだけに、なかなか個性的なショップとお見受けしました。

なかのひと

東京駅から有楽町、銀座界隈は全国のアンテナショップが集中する、いわば「ご当地特区」。その気になれば一日で何軒でもハシゴできる、ジモト好きにはたまらないエリアなんです。もちろん「アンテナショップ探検隊」にとっては、またとない取材スポット。中でも有楽町駅前の「東京交通会館」にはアンテナショップだけでなく各地の観光案内所や物産店、地場産品を扱う「むらからまちから館」などが入っていて、一日中いても回りきれそうにありません。今回お邪魔した「ザ・博多」も、東京交通会館の地下1階にあります。

ところで一口にアンテナショップと言っても、その運営形態はさまざま。自治体の東京事務所に併設された公式のアンテナショップもあれば、物販や飲食業務を民間業者に委託しているケース、完全な民営の土産物店など。お客として見れば同じようにローカル色いっぱいのお店でも、それぞれのお店でちょっとずつ雰囲気が違う気がするのはこんな事情があるんですね。
じつは今回ご紹介する「ザ・博多」も、公式のアンテナショップではありません(東京には、福岡県のアンテナショップは出店されていないんです)。博多のキャナルシティにあるギフトショップ「ザ・博多」の東京店として民間企業(株式会社野田商店)が運営しており、取扱商品も自社判断で仕入れています。それだけに、なかなか個性的なショップとお見受けしました。

藤嶋店長(右)と田中さん

銀座に隣接する有楽町は、オフィスビルやデパート、ホテルが立ち並ぶ大都会の顔とともにガード下の焼き鳥屋、古くからの喫茶店など庶民的な顔が混在する街です。そんなカオスを代表するのが東京交通会館なのかもしれません。

ショッピング客や家族連れで常に混雑している駅前を抜け、地下へと降りていくと一転、不思議なローカル感があたりに漂います。レトロな喫茶店やレストラン、本屋さんやギャラリーを抜けると、フロアの中でもひときわ人の出入りが多い一画が。それが今回の目的地「ザ・博多」なのでした。

思っていたよりもずっとコンパクトな店内に、所狭しとうず高く陳列された商品の間を、お客様がやっとの思いですれ違っています。その第一印象はコンビニというより「ドン○ホーテ」そのもの。お忙しそうな店長の藤嶋さんをつかまえてお話を聞いてみました(お仕事中、スミマセン!)。

――いろんな商品がすごい密度で並んでますよね?

「これは私のアイデアなんです。もともと博多のショップは土産物店なので、整然とした陳列にありきたりの品ぞろえだったのですが、東京に出店するならそれではダメだとわがままを言いました」。

藤嶋さん、じつは博多のご出身ではないそうです。

「地元出身でないぶん、商品を客観的に見られたところはありますね。といっても、自分だったら欲しくなるような品物を仕入れてるんですけど(笑)」。

お酒が大好きという藤嶋さん。なるほど、そう言われてみればおつまみ系のラインナップが充実しているような…?

「売れ筋商品も、ふつうの物産店とは違うと思いますよ」とのことで、売れ筋ベスト5を挙げていただきました。

まず第5位は「梅の香ひじき」。某テレビ局の企画「ご飯の友グランプリ」で九州地区優勝の実力を誇ります。売場では「めしドロボー」のPOPが。

第5位の「梅の香ひじき」

第4位は「カリカリ鶏皮」。いや~、これは完全におつまみでしょ! 藤嶋さんの一番のお気に入りだそうで、やめられない止まらない…とのこと。

第4位の「カリカリ鶏皮」

第3位は「めんべい」。めんたい味のせんべいです。マヨネーズ味が人気とか。

第3位の「めんべい」

第2位は「あまおうソフト」でした。こちらは店頭で食べられるソフトクリーム。福岡名産のイチゴ「あまおう」の風味を生かしたさっぱり味は男性にも好評。

第2位「あまおうソフトクリーム」

そして第1位は「努努鶏(手羽中)」。「ゆめゆめどり」と読みます。その正体はなんと、「冷やして食べる唐揚げ」! 冷凍状態の唐揚げをそのまま、または5~10分、常温で自然解凍して食べます。甘辛いタレがシャリシャリした食感にマッチして、う~んこれは後を引く美味しさ…っていうか、やっぱりビールが欲しい! 「決して温めないでください」との注意書きもうなずける、特許製法の冷たい唐揚げにハマる人が続出中とか。ちなみに東京では、ここでしか手に入りません。

第1位の「努努鶏(ゆめゆめどり)」

――たしかに意外なラインナップでした。

「売れてるわけじゃないけど、こんなのもありますよ」と見せていただいたのが「アマネロ」という調味料。なんでも、あまおう+ハバネロソースという組み合わせから生まれたソースだそうで、結局のところ甘いの?辛いの?と聞くと、やっぱり辛いんだそうです。かわいい顔してスパイシーなのね…。

あまおう+ハバネロソースから生まれた「アマネロ」

それにしても商品のバラエティもさることながら、一つひとつにきちんと手書きの説明やイラストが施されていて、売り場を見ているだけで楽しい!

もちろん福岡グルメの定番、明太子やとんこつラーメンも種類豊富に品ぞろえ。狭い店なのに、心なしかお客様の滞在時間は長めのようです。これだけいろいろあったら目移りしちゃいますもんね。ついつい時間を忘れそう。

とんこつラーメンの定番「一風堂 赤丸」

「この店では、お客様との対話を第一に心がけているんです」と藤嶋さん。対話を通じて相手の性格や生活環境も見抜いてしまう、人間観察の達人のようです。そんな藤嶋さんを慕ってリピーターが多いのも「ザ・博多」の強みですね。

博多の良さを語ってもらおうと、博多出身のスタッフ、田中さんにもお話を聞きました。

「とにかく食べ物が安くておいしい! 私はラーメンよりもうどん派なんですけど」と田中さん。え、うどん? 「あまり知られてないみたいですけど、九州ではうどんが定番のファーストフード。私はウエストうどんというお店によく行きました」とのこと。「うどん発祥の碑」なんかもあるくらいだとか。意外!

子どもの頃からよく食べていた「マンハッタン」というお菓子が、どうやらローカルフードらしいと東京に来て気づいたそう。ドーナツにチョココーティングした感じの菓子パンで、地元では誰でも知ってる定番おやつだそうですよ。

気がつけば予定時間をはるかにオーバーして話し込んでしまっていました。そんな、藤嶋店長をはじめとするスタッフの皆さんの細やかな気配りや、お客様一人ひとりに合わせた丁寧な対話が「ザ・博多」ファンをどんどん増やしているのだなあ、と思いながら、いつか博多にも行ってみたいと思った帰り道でした。

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