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アンテナショップ探検隊・4 石川編

工芸に、食文化に、伝統が息づく美味・美品の数々。加賀の栄華も能登の幸も、銀座にいながら味わえる。

アンテナショップ探検隊、第4回は石川県の魅力を探しに「いしかわ百万石物語・江戸本店」に行ってきました!

なかのひと

北陸新幹線の開通でアクセスが良くなり、一気に観光客が増えた石川県。石川県には、百万石の城下町として栄えた文化を今に受け継ぐ「加賀地方」と、海の幸や輪島塗などの伝統工芸、温泉など自然が豊かな「能登地方」のそれぞれの顔があります。老舗旅館で山海のグルメを満喫したり、野趣あふれる温泉で癒されたり、旅のバリエーションが豊富な点も魅力。そんな石川県に行ってみたい! せめて行った気分になってみたい! ということで、今回はただいま人気急上昇中の石川県を身近に感じられるアンテナショップ「いしかわ百万石物語・江戸本店」にお伺いしてきました!

「いしかわ百万石物語・江戸本店」は有楽町駅からほど近い表通りに面し、地下鉄「銀座一丁目」駅出口の目の前という好立地。このあたりは言わずと知れたアンテナショップの激戦区で、東京交通会館もすぐ近く。どっちを向いてもアンテナショップだらけのロケーションですが、その中でも民家風の瓦屋根をあしらったシックな外観は独特で、どこか懐かしい風情を感じさせます。ちなみに同じ銀座には、金沢市が運営するアンテナショップ「銀座の金沢」もあるので、一日で「石川めぐり」ができちゃいますよ。

さて、石川県と言えば加賀百万石の城下町。人それぞれ思い浮かべるものは違うと思いますが、探検隊員の頭に浮かんだのはとりあえず「金箔」(笑)。お店の中もさぞかしキンキラキン……と思いきや、足を踏み入れてみると意外にも?落ち着いた雰囲気の、上品で優美な店内が広がっていました。このショップは地下と2階もあって、フロアごとにコーナーが分かれています。

1階の入り口わきには、産地直送の野菜コーナー。金曜日から週末にかけてのみ、特別に販売しているとのこと。原木栽培の巨大なシイタケや山菜が並んでいました。タケノコは「ぬか付き」、ワラビは「灰付き」というのがいかにも産地直送で、都会人には嬉しいですね。

今回は店長の水田さん、副店長の仲島さんにご案内していただきました。

副店長の仲島さんとご当地キャラ「ひゃくまんさん」

1階には、ご当地グルメがずらり。城下町らしく、和菓子とお茶のラインナップが豊富な気がします。有名な「起上もなか」「柴舟」「きんつば」・・・と眺めていくと、ちょっと気になる商品が。仲島さんに聞いてみました。

「じろあめ」壺入り

「この“じろあめ”って何ですか?」

「米と大麦だけを原料として、砂糖や添加物を一切使っていない飴なんです」とのこと。メーカーの俵屋さんは180年以上続く、金沢でも老舗の飴屋さんなのだそうです。

加賀地方では江戸時代から続くお茶と和菓子の文化が根付いているのだそうですが、ちょっと独特なお茶もあります。よく飲まれているのは「加賀棒茶」というお茶。棒茶つまり茎茶を焙煎したもので、石川県では一般的なのだとか。

茎茶を焙煎した「加賀棒茶」

お茶とお菓子、といえばこのショップの穴場は2階のカフェ。道路に面した窓際が輪島塗のカウンターになっていて、銀座の街を眺めながらゆったりとお茶や和菓子を楽しめます。2階には伝統工芸のコーナーのほか、コンシェルジュの常駐する観光案内コーナーもあるので、ショッピングの合間に立ち寄ってみては。

1階で「石川県人のソウルフード的なものってありますか?」とお聞きしたら、「とり野菜みそ」という万能調味料を教えていただきました。

テレビ番組でも紹介されてヒット中の「とり野菜みそ」

これ、石川県では知らない人がいないほど身近な食べ物なんだそうです。

「とり」と言っても鶏肉ではなく、「野菜を摂る」ための「摂り」だそうな。オーソドックスな食べ方は何と言っても「鍋」で、ありあわせの野菜やお肉、魚などを鍋に放り込んで「とり野菜みそ」と一緒に煮込むだけで、味噌煮込み風の絶品味噌鍋が完成! うわ、超簡単。今夜のおかずに買って帰ろ。

鍋以外にも野菜炒めなど何にでも使える万能調味料として、クック○ッドにも数々のレシピが掲載されている優れもの。そもそもの始まりは江戸時代にさかのぼるらしいです。し、知らなかった…。

日本が誇る魚醤の代表格「いしり」「いしる」

調味料といえば、もうひとつ。エスニック料理につきものの調味料に、魚介類を原料として発酵させた「魚醤」があります。タイのナンプラー、ベトナムのニョクマムが有名ですよね。醤油とは違う、独特の香りとまろやかさが特徴の調味料ですが、じつは日本にも秋田の「しょっつる」など、いろいろな魚醤があるのです。石川県で作られる「いしり(イカが原料)」「いしる(サバやイワシが原料)」と呼ばれる調味料は、魚醤としては日本有数の生産量を誇るのだとか。うーん、これまた「知らなかった」シリーズですね~。

まるで美術館のような2階の天井

2階にはカフェに隣接して金箔や工芸品が並んでおり、目の保養にいいかも。いずれも細やかな細工が施され、繊細な輝きを放っています。いろいろ見ていると、中にひときわ目立つ、超高級そうな蒔絵細工の金のペンが。なんと、日米首脳会談の際に安倍首相がトランプ大統領にプレゼントした品物だそうです。さぞやお値段も…と価格を見ると「本体価格3,800円」アレ?意外とリーズナブル。これなら、上司の昇進祝いとかにみんなでプレゼントしやすいですね。トランプ大統領とお揃いという旬のネタとしてもウケそうです。

トランプ大統領に贈られた蒔絵ボールペン

さて、いろいろ見てきましたが締めはやはり地下のお酒とおつまみのコーナーへ。このショップにはエレベーターがあるので、2階から地下への移動もらくらくです。ベビーカーのママさんには助かりますね。

地下にはお酒や海産物のコーナー、そしてイートインコーナーが併設されています。人気メニューは能登牛ステーキ丼とか。

フロアに足を踏み入れると、まず目を引くのが奥にかかっている綺麗なのれん。その奥がイートインスペースになっています。こののれん、北陸地方で婚礼に使われる「花嫁のれん」という特別なのれんなのだそうです。

「花嫁のれん」の前で、お勧めのお酒とおつまみを手に

日本酒も、日本酒に合いそうなおつまみも、目移りしそうなくらいズラリと並んでいます。中でも気になったのは「ふぐの子」。フグの卵巣の糠漬けなのだそうですが・・・フグの卵巣って、たしか毒がありますよね~?

他県では売っていない珍味「ふぐの子」

仲島さんによると、フグの卵巣を無毒化する技術は石川県にしかないため、石川県以外では「ふぐの子」は売られていないそうです。へえ~。カラスミやコノワタと並ぶ、日本酒にピッタリの珍味なのだとか。

ところで、仲島さんのお気に入りの日本酒は何ですか?

「“能登乃国”とか、“宗玄”の純米酒ですかね。おつまみなら、タラを味醂ではなく日本酒に漬け込んだ“清酒たら”を炙ったのがお勧めです」。

聞いているだけでノドが鳴っちゃいました(笑)。このフロアには「利き酒師」もいて、好みのお酒を知りたいときは相談に乗ってくれるそうですよ。定期的に利き酒のイベントも実施されているそうで、さすが北陸、酒どころです。

金沢までは、新幹線で東京からわずか2時間半。思い立ったら週末にでも気軽に行ける北陸の城下町へと、早くも思いがつのる今回の取材でした。

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