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アンテナショップ探検隊・8 沖縄編

銀座の街で、沖縄屋根と大きなシーサーがお出迎え!地元の市場にいるような南国パワーに圧倒されます!

各地のアンテナショップを巡る探検隊、第8回となる今回はアンテナショップ界の老舗、「銀座わしたショップ本店」で沖縄色に染まってきました。

なかのひと

東京の銀座・有楽町界隈には30軒近いアンテナショップがひしめいていますが、その中でも老舗と言えるのが今回お訪ねした「銀座わしたショップ本店」です。オープンは1994年と言いますから、もう20年以上の歴史があるんですね。地方の物産を都心で販売する店がまだ珍しかったころから、アンテナショップの先駆けとして沖縄の魅力を発信し続けてきました。

場所は銀座一丁目、柳通りの入口にあたり、大通りを隔てて東京交通会館からもすぐ近くの立地です。地下鉄出口の目の前ということもあり、平日でも人の流れが途切れることはありません。ちなみにお隣は高知県のアンテナショップです。

そんな銀座の街の中で、遠くからでも目立つ存在感を放っているのがショップ入口に鎮座した2頭のシーサーと、赤瓦が特徴的な沖縄屋根のエントランス。見るからにエキゾチックというか南国情緒たっぷりのたたずまいです。リゾートの空港に降り立ったようなワクワク気分で店内に吸い寄せられました。

「わしたショップ」は、沖縄県と民間企業が出資する第三セクターの「株式会社 沖縄県物産公社」が運営しています。北は北海道から、もちろん本家の沖縄まで数ある「わしたショップ」の中でも、ここ「銀座わしたショップ」が本店となっていますが、以前は沖縄の那覇市にある国際通り店が本店だったとか。ご本家以上に目立つ存在になっちゃったんですね。サブマネージャーの渡嘉敷さんにご案内していただきました。

かりゆしウェアに三線がハマる渡嘉敷さん

ところで「わした」って、どういう意味ですか?

「沖縄の言葉で、私たちという意味です。私たちが大切にしている沖縄の文化や食べ物を、全国の皆さんにも愛していただきたいという想いがこめられたネーミングですね」と渡嘉敷さん。渡嘉敷さんも那覇市のご出身だそうです。

そういえば「めんそーれ」とか「なんくるないさー」といった沖縄の方言は独特で、意味を教わらないと「?」となることも。地名も食べ物の名前にも変わった読み方のものが多くて、商品を見ているだけでも楽しめます。

店内には「国際通り」などの標識が

一般的なアンテナショップの商品と言えば加工食品やお菓子、調味料が多いのですが、銀座わしたショップの場合はそれに加えて生鮮品や健康食品、グッズなどの関連商品が充実しています。「沖縄名物」と言われて連想するものはたくさんありますが、この店内にはそのほとんどが集まっているのではないでしょうか。広い店内に収まりきれないほどバラエティ豊かな品々が、それぞれのコーナーにズラリと並んでいる様子は壮観。この感じ・・・そうそう、まるで牧志公設市場に来たような感覚! もともと地下にあったお酒のコーナーやCD・書籍のコーナーが1階に移動してきたこともあって、さらに密度が高まったのだそうです。

正面入口から店内に入ると、すぐに目につくのが「ウコン」のコーナー。ウコンだけでなく健康食品、健康茶がたくさん並んでいます。沖縄と言えば長寿県として有名ですが、食生活にそのヒントがあるのではないかと話題になったこともあって、健康食品にも注目が集まったようです。中でも「醗酵ウコン」は東京ではここでしか買えないので人気とか。「ゴーヤー茶」や「グァバ茶」、「さんぴん茶」といった沖縄ならではの珍しいお茶もいろいろ。それぞれに健康効果が期待できる健康茶シリーズなんだそうです。

ウコンコーナーの売れ筋「醗酵ウコン粒」

正面左手にはお酒のコーナー。そのほとんどが沖縄特産の「泡盛」で、さすがの品ぞろえに圧倒されます。泡盛と言えばアルコール度数の高いお酒として有名。中には与那国島だけで製造される「花酒」というアルコール度数60度以上の泡盛もあります。あまりに種類が多いのでどれを選んでいいか迷ってしまうくらい。

これ、ぜんぶ泡盛!? 圧巻のお酒コーナー
ユニークなPOPが楽しい泡盛コーナー

泡盛コーナーの一角には「ハブ酒」のコーナーも。ハブは沖縄地方固有の毒ヘビで、なんと水だけで100日生きるとも言われる生命力の強いヘビです。アルコールに漬けて無毒化されているとはいえ、ハブがまるごと入っているのでヘビに弱い人は近づかないほうが無難かも。

蒸留酒である泡盛は、ウイスキーやブランデー同様に長期間寝かせることで味がまろやかになるそうで、何年も熟成させた泡盛は「古酒(くーす)」と呼ばれて珍重されます。銀座わしたショップでは、5年物の「主(ぬーし)」という古酒が一番人気とか。入門者用にミニチュアボトル5本がセットになった「泡盛味くらべセット」もありますよ。

インパクト抜群の「ハブ酒」コーナー

沖縄を代表するもう一つのお酒と言えば「オリオンビール」。こちらも、本土ではなかなかお目にかかれないノンアルコールビールなど、専用コーナーに置ききれないほどの幅広いラインナップ。今では全国的にオリオンビールのファンが広がっているとか。

限定品など品ぞろえ充実のオリオンビールコーナー

あ、この調子だとお酒の紹介だけで終わっちゃいそう……そういえば九州や沖縄の人は、酒豪が多いイメージがありますよね。悪酔いを防ぐというウコンのコーナーと並んでいるのもわかる気がします(笑)。

気を取り直して(笑)食品コーナーへ。沖縄から毎日空輸されるという新鮮なフルーツや珍しい食材の数々に、あちこちに人だかりができています。マンゴーやパッションフルーツと並んで、「カニステル」という耳慣れない果物が。別名、エッグフルーツという名の通り、ゆで卵の黄身のような味なのだそうです。なかなか手に入らない最高級パイナップル「タダオゴールド」もしっかり置いてありました。

卵の黄身を甘くしたような?カニステル

海産物では「生もずく」「海ぶどう」が人気。島豆腐や、落花生を使ったジーマーミ豆腐といった、沖縄料理店でしかお目にかかれないような食材がいっぱい。

置いてある商品の種類もさることながら、なにしろそれぞれのコーナーでのアイテム数の多さは特筆もの。たとえば名産品の黒糖にしても、産地の島ごとに味が異なるらしく、味の特徴を一覧にしたパネルが添えられていました。これは塩や唐辛子についても同様で、調味料一つひとつにも奥が深い沖縄食文化の一端を垣間見る思いがします。

「八つの島の八つの黒糖」を説明したパネル

沖縄食文化の代名詞である「豚肉」に至っては、ほぼすべての部位が揃います。沖縄では「豚はひづめと鳴き声以外はすべて食べる」と言われ、部位や料理法によって独特の名がつけられています。「ラフテー」「ミミガー」「テビチ」などは有名ですね。意外なところでは、沖縄風ラーメンとして知られる「ソーキそば」のソーキというのも豚のあばら肉のことだそうです。

ふんふん…と聞いていると、渡嘉敷さんが「こちらではチラガーはあまり売ってないですよね」と言いながら手に取ったのは、なんと豚の顔の皮! 沖縄ではどこの市場でもふつうに売られている食材なのだとか。

チラガー(豚の顔の皮)もなかなかのインパクト

定番の沖縄土産「ちんすこう」は、売場の1列を丸ごと占領するほど大きなコーナーで売られています。聞いたことのない種類を探してみるのも楽しそう。

入荷するとすぐ売り切れてしまう「紅いもタルト」は、なんとワンちゃん用のペットフードとして「紅いもタルト風ビスケ」が売られているほどの人気とか。

島豆腐を発酵・熟成させた「豆腐よう」は、まるでウニのようだとか、チーズのようだと称される、泡盛にはぴったりの珍味です。

泡盛に島唐辛子を漬け込んだ「こーれーぐーす」も、沖縄そばなどの沖縄料理には欠かせない調味料だそうです。暑い地域では辛いものが好まれますもんね。

チーズ感覚の珍味「豆腐よう」
沖縄そばには欠かせない「こーれーぐーす」

店内のイートインコーナー「カフェンチュ」では、沖縄産の人気アイスクリーム「ブルーシールアイスクリーム」や唐辛子ソフトクリーム(!)はじめ、揚げたての沖縄風天ぷらや「サーターアンダギー(ドーナツ風のお菓子)」が楽しめます。中でも渡嘉敷さんのおすすめは「もずくの天ぷら」。「沖縄の天ぷらは、衣に下味がついていてフリッターのようなおやつ感覚で食べるんですよ。沖縄ではあちこちに天ぷら屋さんがあり、身近なファーストフードとして定着しています」と渡嘉敷さん。もちろん沖縄そばも食べられます。変わったメニューではタコスそばも。

店内はいつも混雑しているので、イートインコーナーや休憩コーナーがあるのは助かりますね。その横にはCD・書籍コーナー、かわいいシーサーなどの置物やアクセサリー、近年注目の沖縄コスメなどが並んでいます。

アイスクリームも天ぷらも沖縄風のパーラー
こんな楽しいシーサーくんもいました

1階を一回りするだけで好奇心もお腹もそこそこ満たされてしまいますが、地下コーナーもお忘れなく。銀座わしたショップ地下には2014年に、沖縄地方の伝統工芸品を集めた「琉球伝統工芸館fuzo(宝蔵/ふぞう)」がオープン。琉球ガラスや染織物、陶器や漆器、三線(さんしん)といった独特の工芸品を展示・販売しています。店内のスペースでは、三線の教室も開かれているそうですよ。

色とりどりの琉球ガラス
五つと四つの絣模様がポイントの八重山ミンサー

島ごとにさまざまな個性の染織物や焼物が伝わっていますが、その中で「八重山ミンサー」について、渡嘉敷さんからロマンチックなエピソードを教えていただきました。八重山ミンサーは綿糸を使った細帯で、絣模様の平織りに特徴があります。

「かつて八重山には通い婚の風習があり、その際に女性から男性に贈られたものです。四角い白抜きの絣模様が五つ、四つ、五つと交互に織られていて、いつ(五)の世(四)までも末永く…との思いが込められています」と渡嘉敷さん。これ、プレゼントに選ぶにはぴったりですね~。

四方を美しい海に囲まれた沖縄は、その地理的な条件もあって歴史上、さまざまな外部からの圧力にさらされてきました。でも沖縄の人々はみんな大らかで、ともに助け合う「ゆいまーる」精神が根づいています。「なんくるないさー(どうってことないさ)」と笑う人々の明るさ、強さを感じるせいでしょうか、店内にいるだけでパワーをもらったような気になります。実際に南の島に行けばもっとパワーがもらえるんだけどな~、と渡嘉敷さんイチオシの宮古島の風景を眺めながら、夏のバカンスに思いを馳せる探検隊なのでした。

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