スペシャル なかのひと ジモト応援 ベルシステム24 島根 松江
大学と企業がタッグを組んで、地方の人材育成に本気で挑む!

AI時代に必要な「人間力」を伸ばす新しい取り組みとは?

島根を盛り上げたい!仕事を超えたジモト貢献への想いが形に。大学・企業担当者二人の想いとは?

スズメ

こんにちは!ジモタツ編集部松江支局特派員スズメです。

寒くなりましたね。松江もここのところめっきり寒くなり、毎日家族のために朝早くから部屋を暖め、布団から出てこない子ども達を無理やり起こし、急き立てるように学校へと送り出す、朝から慌ただしい時間を過ごす、普通の主婦である私。松江をこよなく愛する主婦スズメが、今後松江のホットな情報をお届けしていきます。よろしくお願いいたします!

ところで突然ですが、皆さんに2つ質問です。

Q1. 経産省が定義づけしている、「社会人基礎力」の3つの能力とはなんでしょうか?
Q2. 首相官邸で検討される政策会議の1つ、「第4次産業革命人材育成推進会議」にて検討された結果「AIやIOTが浸透する次世代において、人が求められる能力とスペック」には、どんなものがありますか?

Q1の答え

「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つ。

Q2の答え

AIが進化した世界では「AIを活用する能力」や、実社会で働く上で求められる、様々なステークホルダーと「多様で柔軟性のあるコミュニケーションをする力」を備えることが必要、とされています。

なぜこんな話をしたのか?
それは、スズメがいる島根県松江市にある「国立大学法人島根大学」と当社ベルシステム24が、一緒に人材育成の取り組みを進めているからなのです。

島根大学のキャリア教育授業「大学生の就職とキャリア」は、一般企業から講師を招き、社会人に求められる知識・技能・姿勢を学ぶというもの。社会人デビューに必要な「力」を身につけることを目的とした、ユニークな授業です。

今回の取組みの背景や目的について、島根大学『キャリアセンター』の田中先生と対談してきました。
対談では「島根と松江を盛り上げていこう」と熱く盛り上がり?

11月30日に終了した第1回目の当社担当授業の様子も交えお届けします。

島根に愛着を持ってもらいたい。仕事を超えたジモト貢献への想いとは?島根大学×ベル 担当者インタビュー

島根大学教育・学生支援機構の田中久美子先生(左)・当社松江センター スズメ(右)

スズメ では自己紹介を。ベルシステム24松江センターのスズメです。人事採用と労務業務の責任者で、主に採用方法や定着施策を考えています。実は島大のOGで、たぶん先生と同世代です。(笑)

田中 島根大学教育・学生支援機構の田中久美子です。大学では授業を2つ担当しています。1つは今回の「大学生の就職とキャリア」と、もう1つは学生らが地域活動を通して実践力と地域への愛着心を育てる「中山間地域フィールド演習」です。また、キャリアセンターの運営も担当し、キャリア形成や就職活動に関わるイベントを運営しています。

スズメさんとは「ジョブカフェしまね」の方が引き合わせてくれたのが出会いでしたよね。

スズメ そうでしたね、私が「ジョブカフェしまね」の方と知り合いで。当時は従業員のメインは主婦の方で、学生さんはほとんどいなかったんです。一方、松江での業務が拡大するという時で、「松江で新規採用するとなると、どこにアプローチすればいいんだろう?」となってしまって(笑) 。4~5年前かな。当社で島大生に働いてもらいたくて。まずは「ジョブカフェ」で連携している島大の田中先生の前任の先生に意見をお伺いしたいと思って会いに行きました。

田中 うんうん(笑)

スズメ 東京からみたら「こんなに就労人口少ない?」ってなるんだと思うんですけど(笑)。主婦層が入りにくい夜間の業務の募集で、「学生を集めよう!」ということになって、その時から始めたのがタクシー送迎。学校内では、アルバイトの説明会はできないということがあり、「ジョブカフェしまね」の方を通じて島大の先生を紹介いただき、クレーム対応の講義をする機会をもらいました。「そういう対応できるんだ、すごい!」って思ってくれたとコメントをくれた学生もいたり、授業の後に呼び止められて「働きたい」って言ってもらったり。

田中 すごいですね~!(笑)

スズメ 現在では、学生さんは友人紹介で結構来てくれるようになってます。最初は採用がきっかけではあったんだけど、学生のためにもなるのであれば、もう一度講義をさせていただきたいと思い、今回の実施にいたりました。

次世代でより求められるコミュニケーション能力。企業の力を借りて学ぶ場を

社会に求められている人材は何か、を企業の担当者から直接学べる場は貴重

スズメ 学生から当社のことを聞くことってあります?今80名ほど当社で働いてくれているんですが。

田中 「コールセンターのバイトやってます」というのは結構聞きます。あと、就活の面接練習になると緊張して表情もかたいのに、電話で話をすると、別人みたいな子とか(笑)。スイッチ入るんでしょうね。びっくりするぐらい丁寧で、機転も利くし。不思議だね~って言ってたら「バイトか!」って(笑)

あと、ある先生からは「理系の学生が、話せるようになった」という評価を聞きましたね。理系の学生は学会で発表することもありますが、決まったものを一方的に話すことが多くて、そういうのは割とみんな得意なんです。でも実は理系学生のコミュニケーション能力育成は結構課題なんです。「コミュ力ないんです」と相談してくる学生も比較的理系に多いですね。

スズメ 自覚しているんですね。(笑)理系でもコミュニケーション力が求められているのでしょうか?

田中 そうですね、コミュニケーション力がないとせっかく学んだことを人に伝えていけないですよね。求められている力として挙げられているのは学問を活用した「コミュニケーションができる」こととか。つまり自分の専門を持ちつつ、ほかの専門の人の話もコミュニケーションを取り、知識を組み合わせていける力が必要ということです。

スズメ コミュニケーション能力って通常の大学の講義で身に付きにくいかも知れないですね。機会を作るというのは大事なんでしょうね。

田中 そうですだからこの授業なんです。この授業ではいま社会に求められている人材は何かを、求めている側の企業の担当者から直接学べるというのもありますし、求められる実践的なスキルを身に付けられる。それがこの授業の狙いなんです。

スズメ 学生はそういった現代に求められるニーズを認識していますか?

田中 伝えています。この授業では、現代において社会人に求められるスキルは何か、という観点で伝えました。ちなみに社会人基礎力(前述)でいうと、今回ベルさんの授業で期待しているのは「他者に働きかける力」、「前に踏み出す力」が大きいですね。ディスカッションを踏まえ、どういうアウトプットを出すか?プロセスを体験してもらうことがメインになってくると思います。学生からは、「大変そうだけど、そういう力はいつか必要となるのでやります」とか「楽しそう」だとか前向きな意見が多かった。

98%の学生が「コンタクトセンター勤務が就活に役立った」と回答

スズメ 実は当社で働いている島大生にアンケート取ったら、98%は「業務が就活に役立った」と答えたんです。
「企業の人と話せるのは貴重」というと言う意見も多かったです。

田中 なるほど。電話口では社会人の一人として扱われているじゃないですか相手は学生と思っていない。例えば飲食店だと「島大生です」と名札に書いてあったり、学生らしさを出しながらアルバイトをすることもあると思うんです。でも、電話口だとそれが許されない。緊張感がありますよね。当社の顔でもあるし、クライアント企業の顔でもあるし。

スズメ 採用の面接をしていると、「勉強になるから来た」という子が多いんです。「敬語で話せるようになる」と言う人も多かったんですけど、けっこう敬語に課題を感じる学生は多いですか?

田中 多いですね。自分の話している敬語が正しいか悩んだり。キャリアセンターのガイダンスでも学生のニーズとしてはビジネスマナーなどについて教えてほしいというのが多くて人気です。やっぱり不安な要素を取り除いてから社会に出たいんだと思うんです。だから敬語をきちんと指導してくれる職場はありがたいと思いますね。

スズメ 実は学生には、社会人経験のある方より多くモニタリング(実際の通話を聞きながら指導すること)をするんです。おかしな言葉づかいがあれば都度教えています。現場の管理者はプロとして電話対応しているので、ほんとに細かく。そういった中で身についていくんだと思います。

田中 いわゆるバイト語も直る?

スズメ 「よろしかったでしょうか」「とんでもございません」とか(笑)。直りますよ

田中 あ、使っちゃってます?(笑)。「とんでもないです」が正しい?

スズメ そうです、正しくは「とんでもないです」とか「とんでもないことでございます」とか。そういう細かいことも含め、品質担当者が学生には特にしっかり指導しています。研修の時も敬語を学ぶ時間をしっかりとっている。「さようでございますか」なんてベルに入って初めて使った言ってました(笑)。時代劇っぽいとか

田中 普段は「仰る通りです」なんて言わないですよね。

スズメ 学生さん達も、慣れてくると「申し訳ございませんでした」とさらっと言えるようになる。「身に付ける」という意味では外国語に近いかもしれないですね。

講義当日。『正解のないディスカッション』?AI時代に求められる「人間力」を磨く

11/30 「大学生の就職とキャリア」授業の様子
講義はグループディスカッション形式で

2017年11月30日に行われた授業。前半はスライドに沿って、後半はグループディスカッション。採用部門の担当者が講師となり、「キャリア形成」「問われる人間力」について一緒に考えました。

「人生100年時代」と言われる現代。様々な仕事がAIに置き代わると言われています。そのとき、我々に問われる「人間力」とはなになのか?

例えば、AIスピーカーに「甲子園までの道のりは?」と問いかけた場合、梅田駅から甲子園までの距離を、あるいは10年後は○×高校が甲子園に出場するまでの道のりを答えるかもしれません。いずれにせよ、AIは、「答え」を出します。

しかし、人間は、まず状況を把握し「なにが最良の答えなのか」を考えるでしょう。つまり人間がこの問いを受けた際には状況によって答えが変わる、正解が無いということになります。「相手にとって、また自分にとって納得感のある正解」を導き出せるのは、人ならではの能力です。

授業前半では、「答えの存在していない問いに対して仮説を立て、納得感のある答えを導き出す」スキルを、後半は、仮設を立てて答えを導き出すスキルを磨く「正解のないディスカッション」を実施。「納得できる答え」を導いていく過程を体現してもらいました。

これまでとは違った視点での思考に、学生からは、「すぐに正解を求めてしまうが、『正解はない。納得できる答えを探す』というのは新鮮だった」という声も。

(参加学生さんの声)

両親や誰かのためにキャリアを積もうとしていた。でもそもそも何で人って働くのだろう、何で生きるために働かなければならないのか・・・。まずしっかりこのグループで活動をやり遂げて、就活に対して、前向きに考えられるようになりたいです。

みんな色々な思いを持っていて面白かった。自分も含めて、どうしても「結論」を導こうと、「正解」を決めようとするクセがついているので、そこを意識していきたい。

いかがでしたでしょうか?今回の取り組みを通して、「主婦」スズメも学生さんと一緒にしっかり考えさせていただきました。何年で定年で、あとは余生を・・・なんて発想、もったいない。人生100年時代、まだまだこれから島根でできること、したいことがあると実感しました。

島大の田中先生とは、いつも学生さんや島根のこと、自分たちの今後のことなどなど、話が盛り上がりすぎて、あっという間に時間が経ってしまうのですが・・・(笑)。同じ想いを抱いた同志、と言わせていただくのは僭越ですが、会社を通して、こうして地域の活動に関われることは本当に嬉しいことなんです。よいご縁をいただいたことを感謝しています。

地方国立大学という位置づけの中で、ジモトや親との結びつきも深い島大生。今回の授業では、「親が自分たちに求めるものは何なのか?親の思うキャリアと、自分の選ぶキャリアは違うのか?」という話もされました。AI時代、自分のキャリアも、さまざまな接点をかけ合わせ、自分の納得する「自分らしい」答えを探す時代。

さて、私がこれから人生を歩んでいく我が子へ求めるものはなになのか?・・・
まさに “自分らしく” 生きてほしい。

さあ!明日も朝早く起きて、家族のために寒い部屋を暖めます!

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