お客様からの『ありがとう』の数に応じた寄付を実施。声の持つ力を大切にする私たちだからできること
声を失った人が笑顔で「ありがとう」を言える世界を信じて
約60万件。なんの数字だと思いますか?
実は、ベルシステム24(以下、当社)が展開する全国のコールセンターで、お客様から1日にいただく『ありがとう』という言葉の数なんです!コールセンターというと「タフな対応も多いのでは…」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、実際にはこんなにも多くの『ありがとう』が毎日生まれています。
当社は、この『ありがとう』を、何か社会に還元できないかと考え、お客様からいただいた「ありがとう」の数に応じた寄付をする「ありがとうプロジェクト」を発足。
2月16日、寄付先として選ばれた東京大学院生などからなる研究チーム「Syrinx(以下、サイリンクス)」に対し、寄付金贈呈式が行われました。
サイリンクスのリーダー竹内雅樹さんをお招きして実施した、寄付金贈呈式と、当社の野田社長との対談の模様をお伝えします。
「ありがとうプロジェクト」とは?
2022年9月20日、ベルシステム24は創立40周年を迎えました。40周年を記念し、部門横断の様々なイベントや企画を発案し、1年を通して実施。その1つとして、この「ありがとうプロジェクト」が発足しました。当社ならでは方法で、社会へ何か還元できないか…。その想いからスタートしました。
注目したのは、「ありがとう」という言葉。
当社の全国のコールセンターで対応するコール件数は年間にして約5億件。
当社業務内でも積極的に活用が始まっている、AIの音声認識ツールを使い、2022年10月17日〜21日の5日間を「ありがとう週間」として、実際にお客様から『ありがとう』がどのくらい言われたのかをカウントしてみました。
するとなんと…。
期間中で2,941,198件、1日に換算すると約60万件もの『ありがとう』が生まれていたことがわかりました。
こんなにも『ありがとう』を多くいただけていたなんて、自分たちの自信にもつながりました。今まで全社でどれだけの『ありがとう』をいただいているか、数えたことありませんでしたが、AI音声認識ツールによって、初めて可視化したんです。ぜひこの『ありがとう』を社会に還元したいというこの企画に賛同し、その数に応じた金額を寄付することを決定しました。
寄付先に選ばれたのは、喉頭がんなどが原因で声を失われた方が使用するハンズフリー型「電気式人工喉頭」の開発に取り組む、東京大学院生などからなる研究チーム「サイリンクス」。
サイリンクス公式ホームページ
https://syrinx.community/
ベルシステム24と、サイリンクスを結んだのは、「声を使ったコミュニケーションを大切にしたい」という共通の思いでした。
命も声も諦めないでほしい。そのビジョンに賛同して寄付を決定
喉頭がんなどが原因で、喉頭や声帯を失われる方がたくさんいらっしゃいます。声を失われた方々がコミュニケーションを取る場合には、口の動きを読んだり、筆談をしたりする他、電気式人工喉頭という機械を使う方法があります。しかしこの機械はこれまで20年以上、機能やデザインの変更がされていない上に、使用する際には片手がふさがり、ロボットのような音声しか出せません。そのため『人前で話したくない』とコミュニケーションを諦めてしまう方も多くいらっしゃるのが現状です。
声を取るのか、命を取るのかという選択を迫られ、中には『声を残したい』と手術を断念される方もいます。
でもそれはきっと違うと思います。命も尊重し、声も取り戻してほしい。そう思い、サイリンクスを立ち上げました。
昨年、初めてお会いして、お話した際にも、“声のコミュニケーション”を大切にされていること、そしてこの取り組みをビジネスとして捉えたときも、短期的な目先の利益ではなく、世界を視野に入れて中長期で考えていること、その志の高さに感銘を受けました。サイリンクスさんと同じく、声によるコミュニケーションを大切にする会社として、何かお手伝いできることはないかと思っていましたので、こういった形でかかわることができて本当に嬉しく思います。
こちらこそ、声を失ってしまった方々の手助けをしたいとスタートしたプロジェクトの意志を、同じく声を大切に思う御社の皆様に汲み取っていただけて本当に嬉しいです。まさに“ありがとう”ですね!
サイリンクスが目指すデバイスとは
サイリンクスが開発中の電気式人工喉頭は、従来のものと違ってハンズフリーで使用することができ、ご本人が本来持っていた声に近い音声を発することができます。デザインもスタイリッシュで、色も複数から選べるように。パッと見ると、まるでオシャレなヘッドフォンを首にかけているようです。
実際に、「ありがとうプロジェクト」メンバーも体験してみました!首に巻くようにデバイスを装着し、声を出しているつもりで口をパクパクと動かすと…
「あいうえお…あいうえお…」
たしかに口元から音声が聞こえてきます。きちんと聞き取れます。さらに竹内さんがデモンストレーションをすると、もっと鮮明に聞こえました。
聞こえますか?今声は出していません。口パク状態です。人によって声帯の位置などが違うので、機器の調整が必要になります。この機器は私用に調整されているので、良く聞き取れると思います。
おお~
すごい
人の声には起伏があり、深みがありますよね。人とのコミュニケーションで1番スムーズに感情をのせられるのが『声』ではないでしょうか。今の課題は、声の抑揚や強弱をいかに再現するかです。まだまだ改良が必要ですが、今回いただいた寄付金も活用させていただき、人が使う『声』にさらに近づけるよう、開発に力を入れていきたいです。
メガネはおしゃれとしても楽しみますよね?将来的には、声を失われた方だけでなく『この人の声でしゃべってみたい』という“声のコスプレ”用のデバイスとして楽しんでいただくなど、日常の中で当たり前のように利用できるものを目指していきたいと思っています。
基本的に言語は問わずに使用できるので、世界からも注目が集まりそうですね!
サイリンクスの利用者からの『ありがとう』が聞ける未来を信じて
対談に先立ち、当社のプロジェクトメンバーも参加して、贈呈式が行われました。
ベルシステム24、喉摘者(こうてきしゃ)向けハンズフリーの発声支援デバイス開発を手掛ける、東京大学院生などによる研究チーム・サイリンクスへ寄付を実施
https://www.bell24.co.jp/ja/news/holdings/20230227/
「これだけ多くの方から『ありがとう』をいただけるんだと、プロジェクトを通して実感しました。普段の仕事の中に、改めて意義を見出すことができたのでは」とは野田社長。
また、コールセンターの仕事のイメージについて、竹内さんは、
「正直、大変そうというイメージもありました。でも、一日に約60万件も『ありがとう』が集まったと聞いて、驚きましたが、納得もしました。
思い出したのは、海外出張からの帰国時に、レンタルしていたWi-Fi機器の返却期限が、コロナによる入国の際の隔離期間と重なっていることに気づいて、コールセンターに電話した時のことです。その時はこちらもイライラしてしまっていて、口調も強くなっていたと思いますが、担当の方が親身になって対応してくれて…。
気持ちも落ち着きましたし、レンタルについても解決できて、『ありがとう』と言いました。
コールセンターの仕事は、世の中になくてはならない仕事だなと思いますし、とても重要な役割を持っているんだということを再確認しました。今回こういった形で寄付していただけて、まさに“ありがとう”という感謝の気持ちでいっぱいです」と語りました。
また、当社のありがとうプロジェクトメンバーの宮原さんは、「いつかサイリンクスさんのデバイスを使った方が『ありがとう』を口にする日がくれば、とても嬉しい」と話してくれました。
これからもサイリンクスの活動を追いかけたいと思います。
サイリンクスの皆様、ありがとうございました。
いかがでしたでしょうか?
「ありがとう」
きっと普段からなにげなく使っているかもしれませんが、どこか耳にするだけで心が救われて、あったかくなる魔法のような言葉ですよね。
お客様とコミュニケーターとの声を使ったコミュニケーションから生まれた『ありがとう』が形となり、新しい「ありがとう」へ。当社は、これからもお客様から『ありがとう』をいただけるよう、生活者の声に耳を傾けていきます。
ジモタツPodcast第25回_ありがとうプロジェクト紹介
https://www.jimotatsu.com/special/j3/podcast-25.html
withnews「声のイノベーション──「ありがとう」がつくるこれからの社会」
https://withnews.jp/article/k0230228001qq000000000000000S00110101qq000025544A
マイナビニュース「【失った声を取り戻す】また話せるようになる未来を応援 - ベルシステム24が「ありがとうプロジェクト」を実施」
https://news.mynavi.jp/kikaku/20230228-2599585/
もともとお客様からたくさんの『ありがとう』をいただいている実感はあったものの、実際にどのくらいいただいているかをカウントしたことはありませんでした。