「ひまわりのように前向きな気持ちになってほしい」一杯のコーヒーが教えてくれたもの
障害のあるバリスタたちの熱き挑戦と成長
こんにちは、なかのひと、スミです。今年もホットなこの日が来ました!
2023年9月28日、品川プリンスホテルにて、全国各地の障がい者が運営するカフェで働くバリスタたちが技術を競う『第3回 CHALLENGE COFFEE BARISTA 2023』大会が開催。
昨年に続き、ベルシステム24(以下、当社)本社のカフェで働くスタッフたちも2年連続で出場しました。
当社はメインスポンサーとして協賛しています。
障がいがあるバリスタたちの挑戦
コーヒーが紡ぐ、奏でる。小さなハーモニーの中に見つけた、ダイバーシティのカタチ
https://www.jimotatsu.com/special/challengecoffeebarista2022.html
当社は、本社をはじめとする全国5拠点で、ベルシステム24グループの特定子会社である(株)ベル・ソレイユ(以下、ソレイユ)の社員が、バリスタとしてオリジナルコーヒーを提供するカフェを運営しています。
ベルシステム24、SDGs並びに「多様性プロジェクト」を推進、「障がい者の運営によるカフェ」をミカフェートのプロデュースによりオフィス内に開設
https://www.bell24.co.jp/ja/news/holdings/20190207/
「おいしいから飲みたい」と思う高品質のコーヒーを提供する、プレミアムカフェの挑戦
https://www.jimotatsu.com/Bell24/cafe-open.html
時にはカフェ常設がない拠点へ出張販売に行ったり、オリジナルブレンドのドリップバッグの販売もしています。最近は、カフェの名称も『Café de Bell』に決まり、素敵なロゴもできました。
昨年は「スマイル賞」を受賞しましたが、今度こそ、目指すはグランプリ!
今年はスミもサポートメンバーとして帯同しました。今年のブレンド名に込められた想い、そして彼らの挑戦が教えてくれたこととは。イベント密着レポートをお送りします。
パフォーマンスの豊かさも目を引いた、抽出技術審査
開始前には控室で運営スタッフや大学生ボランティアの皆さん、各チームの代表が挨拶や意気込みを語り合っていましたが、お互いが徐々にライバルを観察する鋭い目つきになっていました。出場チームの本気度が伝わってきて緊迫感を感じました。
規定上、昨年グランプリを獲ったチームの出場は認められていませんので、全チームが初優勝を狙うチャレンジャー!
審査は、順に『抽出技術審査』と『ブレンド審査』の2部構成。
抽出技術審査では、10分の制限時間内に、豆を挽く、コーヒーを抽出する、4人分のカップに注ぐ、4人の審査員に提供する、という作業を行います。
Café de Bellは10チーム中5番目の登場です。
昨年の出場者3名に本社カフェの新店長を加え、さらに控え1人の5人編成で臨みました。本社カフェでは、普段のカフェ運用の際も健常者のサポートなしで運営しており、本番も同じようにサポートなしで臨みます。
今年はユニフォームもリニューアル。かっこいいオリジナルユニフォームに身を包み、より強い結束を感じます。
昨年は基本的な動作をしっかりとこなし、実直なパフォーマンスを行うチームが多い印象でしたが、今年はさらに実演レベルが上がり、基本に加えて、「いいね」「了解」「お願いします!」「おいしいコーヒーをどうぞ!」など、仲間や周囲に向けて身振り手振りで笑顔のパフォーマンスを披露するチームが多くなりました。
Café de Bellのメンバーも、提供前のコーヒーを試飲して、おいしい!のサムズアップポーズをするパフォーマンスがあり、バッチリ決まっていました。
今年のブレンドは、ひまわりをイメージした「ソレイユブレンド」
今年は『Café de Bellらしさ』『自分たちが目指す姿を、味で表現する』ことをテーマに、オリジナルブレンドを作りました。
ブレンドコンセプト
ベルシステム24 オフィスの真ん中にある 私たちの働くカフェ。 コンセプトは “セレンディピティ“(幸運な偶然)。みんなをつなぐ素敵なお店です。そこではコーヒーがきっかけとなって日々たくさんのコミュニケーションが生まれ、障がい者スタッフも一般社員も自然体で働いています。
今回のブレンドは、元気にコーヒーを淹れている私たちの姿と、ひまわりの元気いっぱいなイメージを重ねた味にしてみようと思いました。大地にしっかりと根を張るひまわりのイメージは、しっかりしたボディの味わい深さをベースにして、太陽の光で花びらや葉がきらきらと輝く様子は、明るい酸味でアクセントをつけ、大きくておいしさがぎっしりと詰まった種の部分は、ナッツを思わせる香ばしさとチョコのような甘さで表現しました。
このブレンドを飲んだ方が、ひまわりが太陽に向かって咲くように前向きな気持ちと笑顔になればいいなという思いを込めて作りました。ぜひご賞味ください。
Café de Bellメンバーが所属する(株)ベル・ソレイユの「ソレイユ」とは、フランス語で「太陽」「ひまわり」のこと。太陽に向かって強くまっすぐに咲くひまわりをイメージした、力強い味わいに仕上げました。
今回は、この「ソレイユブレンド」をイメージし、メンバー全員でちぎり絵で表現したひまわりの絵をポストカードにして、審査員にコーヒーを出す際に、カップの近くに添えて提供しました。この作品は、5人のメンバーがひまわりを1輪ずつ作り、最後にコラージュのように合わせて1つの作品にした、ちぎり絵です。ステキですね。
会場の応援も白熱。オンラインでも応援
応援も昨年より熱が入ったチームが増えました!昨年は応援グッズを持っているのは、私たちくらいでしたが、今年は、各チーム横断幕など工夫を凝らしたグッズを持ち込み、会場は熱気に包まれました。当社も負けていられません!応援には社長も駆け付け、昨年同様に手作りパネルを持って見守ります。
ガンバレ、ソレイユ!ガンバレ、ベル応援団!
当社ではパブリックビューイングでライブ中継され、社員やソレイユの仲間たちも応援してくれていました。
配合と淹れ方でここまで違う?ブレンド審査
実技審査後に行われたブレンド審査では、各チームのコーヒーが入った10台のコーヒーサーバーにA~Jまでのアルファベットが振られ、審査員や競技者、観客も含めた来場者がコーヒーを試飲。一番おいしいと思ったコーヒーのアルファベットを1つだけ、紙に書いて投票箱に投入します。
もちろん、どのチームのコーヒーが、どのサーバーに入っているかはわかりません。
当社ブレンドを大会前に試飲できなかったのですが、担当者からは、「しっかり香ばしく、苦みの方が感じるかも。酸味は後から来る感じ。ひまわりをイメージしているので、ぎっしり詰まったタネの香ばしさを感じてね」と聞いていたので、照らし合わせながら、試飲していきました。
(ぎっしり詰まった種の香ばしさ・・・)
・・・うん、わからん。
恥ずかしながら、スミのメモです。指定された3種類の豆を使うことは決まっていますが、配合は自由。配合と淹れ方でこんなに違うものか、と毎回驚きます。
A | 薄い香り、あっさりしているが、すっきりした苦みがある |
---|---|
B | フルーツの香り、甘みがある、酸味が後からわずかに来る |
C | ほのかに花の匂いもするさらりとした香り、さわやかな酸味も印象 |
D | ジャスミンのようなキンモクセイのような香り、あっさりしていて、酸味が後から少し来る |
E | 芳醇な香り、香りから想像するまろやかさの期待に反して、酸味が印象 |
F | ふわっとした香水の香り、少し苦みがあり、後から酸味が来る |
G | ムスクのような香り、少し苦みがある |
H | オーソドックスながらもっともコーヒーらしい香り、苦みがある |
I | 華やかな香り、苦みがあり、酸味も後から来る |
J | バラのような香り、酸味が強い |
いや、ぜんぶおいしかったんです。どれも甲乙つけがたいなかで、個人的な好みは、A。しかしもらったヒントから、無意識に当社カフェのコーヒーを当てに行ってしまい、迷った末に苦みと酸味を感じた(種がぎっしり詰まった香ばしさ?)Fに投票。※後日、正解はHだったとわかりました。
はたして結果は?
審査員の会議が去年より長く感じたのは、早く結果を、とワクワクしていたからでしょうか。結果発表が始まりました。
まずは、ブレンド審査1~3位。ここに選ばれたいところでしたが、、、選ばれず。残念。
次に、『ダーマロジカHealthy Skin賞』です。
歓声が起こりました。受賞です!おめでとうございます。
この賞は、個性豊かなメンバーたちがそれぞれの役割をしっかり連携して作業していたことを評価するものだそうです。
一人ひとりが担当を全うし、全員で成し遂げたことが認められました。その後も次々と賞が発表されていきます。また呼ばれました!なんと2つめの受賞!ふたたび歓声と拍手に包まれました。
受賞したのは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンからの『グッドデザイン賞』。コンセプトに沿ったコーヒーボトルのラベルデザインに与えられる賞です。
プレゼンターからは、モチーフの5つの大きなひまわり、メンバーが一輪ずつ作ったちぎり絵で表現されて、いろんな思いが込められていることがすごく伝わってきた、との評価を頂きました。
余韻冷めやらぬなか、最後の総合順位の発表が来ました。
「Champion Bean」「Green Bean」「Bronze Bean」
この大会では、これが金銀銅に値する賞です。もちろん誰もが目指すは、「Champion Bean」!
結果、「ダーマロジカHealtySkin賞」「グッドデザイン賞」の2つの受賞となりました。
着実に力はついてきています。きっと、あと僅かでした。
メンバーたちの大会後の想いとは
大会後、メンバーたちに感想や来年の抱負を聞かせてもらいました。
コーヒーが作れるよう、役割分担をよく考えて、流れやまとまりを重視して練習してきました。初めての大会で緊張してしまいましたが、来年はリラックスして笑顔でおいしいコーヒーを提供したいと思います。ウエちゃん
コーヒーカップに同じ量のコーヒーを入れることをがんばりました。チームワークはよかったです。もう少し笑顔ができたらよかったかもしれません。
アサノさん
(自分が担当する)ハンドドリップをしっかりとやりました。機会があればまた出たいです。
スガノさん
コーヒーをこぼさずに運ぶことをがんばりました。少し笑顔やアピールが足りなかったかな、と思いました。でも一体感はあったと思います。来年も出られたらがんばります。
タムラさん
普段の練習どおりにできたと思います。チームのことを考えて、もう少し身ぶり手ぶりのパフォーマンスを取り入れて、元気よく望めればよかった。来年は大きくパフォーマンスをしてアピールします。
コバヤカワさん(サポートメンバー)
「自分たちらしさを表現する」ことを目標に、練習とテイスティングを何度も繰り返して決めたブレンドや役割。緊張のせいか思うようなパフォーマンスが出せなかった昨年に対して、今年は納得のいくパフォーマンスが出せたと思います。
アカツカさん(サポートメンバー)
練習をたくさんしたけれど入賞できなかったことは、相当悔しい思いをしたのではないかと思います。他チームを見て、もっと笑顔があればよかった、と自分たちを振り返っていたようです。でも、人見知りや緊張など、苦手なことへ挑戦する姿はカッコよかった!
アビコさん(サポートメンバー)
野田社長からも、社内SNSで全社に感想を伝えられていました。
ソレイユチームの皆さん、見事に2つの受賞おめでとう!!
心のこもったコーヒーの味も素晴らしかったし、ユニバーサルスタジオからのグッドデザイン賞も価値ある賞だったと思います。このイベントは、コーヒーを通して、障がいの有無に関わらず、すべての人がその人らしく活き活きと、命を輝かせて生活できる「インクルーシブな社会」となることを願い企画されています。一杯のコーヒーから始めるSDGsのコンセプトに共感した複数の大学が本イベントに協賛しており、当社には昭和女子大生がサポートに加わってくれました。
スマイル賞授与の際に下記コメントがありましたので、参考までに記載します。
審査員:ディスナダ・ディスクル タイ王室 メーファールアン財団理事長
Coffee should be all about smile
コーヒーというのは私は「笑顔」だと思います。
今日は皆さんは私たちに「笑顔」をくださいました。
コーヒーを作り続け、飲み続ければ皆さん幸せになって笑うことができます。
いかがでしたか?
大会の翌日。
カフェには日常が戻り、いつものように、フォローし合いながらコーヒーを提供していました。来る1年後に向けて。
会場にはご家族や、カフェの常連の社員も応援に駆けつけ、審査の際には前列で、セコンドのように見守っていたのが印象的でした。カフェでの日々の積み重ねやつながりが、こういった応援に繋がっていると感じました。
そして、メンバーのチャレンジは関係者全員にコーヒーと同じように、元気と笑顔をくれたと思います。
賞のプレゼンターや社長からも、自信につながる素敵なコメントを頂きました。きっとメンバーの心に深く刻み込まれ、明日からの成長の糧になることでしょう。
たった1杯のコーヒーに込められた想い、コーヒーがつないだ縁が、実は貴重で温かいものだということ。
こういった日々の縁を大切にしたいと改めて思った一日でした。
今年も素晴らしいチャレンジを見せていただき、ありがとうございました。お疲れさまでした。
今日もカフェはにぎやかです。